1000匹の犬

サイタローの感想ブログ

怪異を呼ぶ人間に碌な奴はいねえ「ずうのめ人形」感想文

積ん読解消週間です。

「ずうのめ人形」読みました。

前作(ぼぎわんが、来る)と同様、今作もまーーーー人間の嫌なところが的確に描かれていまして……超面白かったです!!!

怪異を呼ぶのは人間であるという展開、好きです……

 

以下、ネタバレあり感想。

 

ずうのめ人形 (角川ホラー文庫)

 

今作のベストオブやばい人間である里穂について、書きます。

 

読み終えた後、最初は里穂がどうなっていればまっとうに生きられたのかな、って考えていました。

学生時代に一人でも対等な理解者というか、同級生とか大人とかに心開ける人がいたら違ったかもしれない…って思っていたんですが、なんていうか他者に救いを求めるのは違うのでは、となってしまいました。

 

というか、ちょっと読み返すと割と救いの手が差し伸べられている気がするんですよね。

 

「私たち分かり合えるよ!」と言った同級生とか。

「学校だけが全てじゃない」って言ってくれた保健室の先生とか。

 

それを拒絶してしまったのは里穂本人なんですが、なんで拒否してしまったかというと、自分の思い通りにならないのが許容できないからじゃないですかね。

多くの「まっとうな」人は他人が「自分の意向と違う行動」をとったとしても許容できる心の余裕がある。

でも、里穂には余裕がない。

自分のことでいっぱいいっぱいだから。

 

「生徒の意思を尊重します」と父親からかくまってくれたのに「ホラーに逃避しないようになれたらいいね」と言った担任の教師とか

「ホラー好きだよ」という体なのに懐古主義のうんちく垂れ流しで好きな作品こき下ろされたりとか…挙句の果てに「彼氏の影響?」とか……

そして、最後には好きだったオカルト界隈にも(勝手に)絶望してしまう…

 

里穂の希望としては「絶対に自分の味方な教師」、「ホラー趣味に理解を示してくれる知識豊富なおじさん」、「いつまでも自分を救ってくれる、真摯な作り手があつまるオカルトというコンテンツ」

いや~~~~~無理じゃん??

そんなに世の中うまくいかないよね…

 

 里穂の家庭環境、学校生活、周りの大人が全部よくなかったことは認めます。

認めるけど…それが他者に危害を加える理由になっていいのか?ということですね…

 

これは経験則ですが、立場の弱い人間にすり寄る人間に碌な奴はいないよ。

里穂の回想小説、井原君と仲良しですって書かれたとき「なんで???メリットなくない??ていうかその行動イジメを助長させそう」としか思えなかった。(これは私が根っからの善人というものを信じていないから)

そしたらさ~~~~まさか加害していたなんて……

丸山氏からのメールの「陰気ないじめっ子」って、誤字じゃないですね……

(これを誤字と思って違和感を感じなかった藤間は相当里穂に感情移入している)

 

里穂は他者に加害することでストレスを発散していたことが判明したわけですが、なんていうか、こういう人間いるよね~~~!

相変わらず人間の嫌なところを描くのがうまい!好き!

 

ところで私はホラー映画に明るくないので、「悪魔のいけにえごっこ」「死霊のはらわたごっこ」「ジェイソンごっこ」がどういうものか全く想像がつかなかったので調べましたよ。(Wikipediaで)

引用します。

 

「悪魔のいけにえ」

墓荒らしが頻発しているテキサス州に、5人の男女が帰郷がてら墓の無事を確かめるために訪れた。一行はその道中で一人のヒッチハイカーを拾うが、ナイフで自傷行為に及び、切りかかるなどの異常な行動を起こす。その後、一行はガソリンを分けてもらうために近隣の家を訪れるが、そこには先ほどのヒッチハイカーやその弟である殺人鬼・レザーフェイス(人皮のマスクを被った大男)が住んでおり、一人また一人とレザーフェイスにより殺されていく。墓荒らしの犯人はレザーフェイス一家であった。(武器はチェーンソー)

 

「死霊のはらわた」(だいぶ略してます)

楽しく休暇を過ごそうと、5人の若者たちは森の小屋を訪れる。その地下室で偶然「死者の書」とテープレコーダーを見つけ、興味本位でテープを再生してしまうが、録音されていたのは森に封じ込められていた悪霊を蘇らせてしまう呪文だった。

森の木々に襲われ負傷して小屋へ逃げ戻ると、突如シェリルが悪霊に憑依されて死霊と化し、リンダの足首を鉛筆で刺して負傷させる。

スコットは斧で反撃してシェリルを地下室へ閉じ込めるが、シェリーも窓を破って侵入してきた悪霊に憑依されて死霊と化し、スコットに襲いかかる。格闘の末、スコットはテープに録音されていた「死霊を倒す方法」に従い、シェリーの身体を斧でバラバラに切断する。

小屋へ戻ったアッシュが眠っているリンダの様子を見に行くと、足首の傷から何かが広がり、彼女も死霊と化す。

一人残されたアッシュはナイフを持ったリンダに襲いかかられ、彼女の背中にそのナイフを突き立てて倒すと、納屋に運んでチェーンソーで切断しようとするが、どうしても決心がつかずに外で埋葬する。まもなく、土の中から飛び出して襲いかかってきたリンダに対し、アッシュはスコップで斬首する。

 

「ジェイソン」

殺人においてジェイソンは様々な武器を使用しているが、マチェットや斧を用いることが多い。第3作以降は怪物じみた筋力を用いた素手での殺人も行う。基本的に手に持って振り回すだけで使えるような原始的な凶器を使用し、その場にあった適当な道具での殺人も多い。銃火器は一切使わず、その他の飛び道具を使うことも少ない。遠距離攻撃は基本的に武器を投げつけるといった方法で行うが、第3作では飛び道具(クロスボウや水中銃のようなもの)を使っている。第7作で刈払機を使用した際は自分でエンジンをかけていた。第4作ではジェイソンを倒すために持ち込まれていた銃を事前に破壊しておくなど、高度な武器に関する知識もある程度持っている模様。

 

なるほど…で、これを「ゆかりちゃんの手、足、お腹」に??「ハンガー、大きなお盆、金槌、包丁」で????

手…切断??足…刺す???お腹……なに?包丁?お盆でガードしながら??

こ、こわ~~~~~~~~!!

やば~~~~~~~~~~~!!!(描かれていないのですべて想像です)

しかも小学生の子供に??なんて…なんて邪悪なの……里穂まじでどうしようもねえな……

大人の里穂についても「ストップウォッチを動かせと目で合図を送る」とか「優しく指導して」とか、なんていうかハラスメントのかおりがする描写がね…ありますね……

 いやーーーまじでストレスのはけ口が他者に向かう人間は危険ですね。

 

里穂の一連の自伝小説「ずうのめ人形」では、自身を「世界から迫害されるかわいそうな私」「そこに現れたゆかりちゃんという理解者」という風に描いているわけですが、これを読んで完全に「里穂フォロワー」になってしまったのが藤間くんですね。

マンションでの対峙を経たうえで

 

里穂には呪いなど関係ないところで、今の暮らしを続けてほしい。

 

ってさーーーーまじで言ってんのかそれ…お前にはあれが幸せに見えるのか?

アシスタントに暴力をふるっているの知ったんでしょ?

藤間にとっての幸せも、本心では「良い家に住んで家族を持つ」なのかなと思ったら、悲しくなりました。

いいじゃん。好きなことを仕事にできるのって超幸せなことじゃないですか。

結局はただ理解者(彼女)がほしい、リア充に憧れたやつってだけなの??

なんだかなーーーーーーーー

藤間君も救いを他者に求めていますね。

自分を投げうって他者を救おうとしている真琴や野崎との対比が際立つ……

それでまた呪い(になる可能性があるもの)を拡散して……そういうとこだぞ!

 

今作は陰キャに厳しい内容だったな。

人のせいにするな。自分で自分を救え。好きを貫け。

ハーーーー好きです…好きなメッセージ性です……

 

あとはマンションの下層階住人が完全とばっちりすぎてかわいそうだったのと、岩田くん死んでしまったのが悲しかったですね…いいキャラだったのに…

岩田くんのすごいところは、自分が生き残るために躊躇なく知人を犠牲にしようと判断できること。

強いね~~~生きるパワーが強くて好きです。死んじゃったけど。

 

次作も読みます。楽しみ~~~