1000匹の犬

サイタローの感想ブログ

「ドキュメント道迷い遭難」からみるピンチの乗り越え方

こんにちは。

「ドキュメント道迷い遭難」読みました。

 

登山時に道に迷った人がどのような心理で遭難に至ったのか、そして生還の分かれ道は何だったのかを自己分析しているルポルタージュです。

超面白かったですが、そのへんのホラー小説よりよっぽど怖かった…

極限状態の人間の心理に興味のある方にオススメです。

全部で7ケースの遭難について書かれています。

 

もしあなたが山を歩いているときに、「あれ、この道でいいのかな」と思ったら、それはもう決断を迫られている状況なのである。

 

 

ドキュメント 道迷い遭難 (ヤマケイ文庫)

 

〇南アルプス・荒川三山

当時50代の男性の話。8月。

単独行で雨のため当日にルート変更。

道迷い自覚後もセオリーを無視し、沢を下ってしまう。(遭難時は「尾根に登る」のがセオリー)

その後も進退窮まって滝つぼにダイブしたり(これで足骨折する)、折れた足のまま急斜面を登ろうとして荷物を全部落としたりする。やばい。完全に錯乱状態。

遭難後のテント泊(ビバーク)は10日間。

その後、家族がチャーターした民間のヘリによって救助される。

救助費用:200万円ちょい(うち200万は旅行保険で賄う)

☆生還ポイント

・家族に登山計画を伝えていた。家族があきらめなかった。

・夏だった

・運がめちゃくちゃ良かった

 

〇北アルプス・常念岳

当時20代半ばの男性の話。1月。

単独行で雪山。しかも天候が悪いのに進んでしまう。(ていうか雪山に上る人は頭がおかしい)

遭難の自覚はあったが、最短ルートで下ればリカバリー可能(やばい。しかも下ろうとしている)と考え、突き進んでしまう。

テントでのビバーク3泊。この人も滝つぼに飛び込んでる。雪山でびしょぬれとかやばすぎ…衣服が凍り付き皮膚がへばりつく描写がえぐい。凍傷の描写もえぐい。

自力で山小屋にたどり着き、翌日たまたまそこを利用するために訪れた人に救助された。

両手の人差し指、中指、薬指を凍傷のため切断。両足もリハビリ必須の重度の凍傷。

病院の治療費等で200万円オーバー。保険未加入だったため全額自己負担。

☆生還ポイント

・超絶運がよかった

・若いから体力があった

 

〇南アルプス・北岳

当時50代後半の男性の話。9月。

斜面で転んでルートを外れ、気が動転しているときに「下る」判断をしてしまった。

ビバーグしながら山中をさ迷い歩くが、正常な判断ができない状況なので、上ったり下りたりフラフラしてしまう。しかもクマと遭遇。やばい。ビバークは5泊。

その後、たまたま山に写真撮影に入っていた人によって救助される。(その人がその場所に立ち入るのは年に1~2回)

行政ヘリ、警察の出動のみだったので救助費用の請求はなし。公務員ありがとう…

☆生還ポイント

・めちゃくちゃ運がよかった

・滝に落ちなかった。崖から落ちなかった。

 

〇群馬・上州武尊山

当時30代半ばの女性の話。5月。

道を間違えたと気づいていたのに、景色がキレイすぎて戻らなかった。

そのうち足を滑らせて滑落。元ルートに戻れず遭難。登れないので下るしかない。

4日間山をさ迷い歩く。4日目に山菜取りに来ていた人に発見、救助される。

超やばい状況だったはずなんだけど、この女性のメンタルが強すぎてあまり悲壮感がない。ちょっと冒険したな~というかんじ。油断良くない。

救助費用:120万くらい。保険で賄われる。山岳部の仲間への捜索費用などは自腹で負担。

☆生還ポイント

・メンタルが強い。

・めちゃくちゃ運が良い。

 

〇北信・高沢山

当時40代半ばの父親と高校生の娘の話。残雪がある5月。

急なルート変更と想定外の残雪の多さ。雪で滑って二人で数十メートル滑落。やばい。

滑落後、斜面を登れず遭難。

父親が娘に当たらず弱音を吐かなかったのが超えらい。娘も極限状態なのに父に当たらなかった。えらい。

疲労と緊張から、めちゃくちゃ幻覚をみる。

尾根にたどり着いたところで電話が通じ、その情報(伝えた情報は間違ってたけど)によって翌日ヘリで救助される。ビバークは4泊。

救助費用90万弱。県警ヘリなのでこの値段。民間だったらもっと高かった。

☆生還ポイント

・比較的仲の良い親子二人だった

・母親が遭難に気づくのが早かった

 

〇房総・麻綿原高原

50~80代のハイキンググループ30人の遭難。11月。

みんな慣れてる人たちで油断しちゃった。

ビバーク自体は1泊で、判断ミスもあったけど事態もそんなに深刻じゃなかった。

でもマスコミが大騒ぎして大事になってしまった。

当人たちは元気。マスコミ不信になりそう。

救助費用の請求はなし。

☆生還ポイント

・キャリアのある人たちばっかりだったのでパニックにならなかった

・無理をしなかった

 

〇奥秩父・和名倉山

30代後半の女性。5月。

電車事故のため入山予定が遅れ、急遽予定変更。

沢登りの人たちがつけたテープと背の高いササに惑わされ遭難。

ビバーグは1泊。途中、沢は下るわクライミングはするわでヒヤヒヤするが、滝は回避するし最終的にちゃんと尾根を目指して進む。よかった。

登山道を見つけ、自力で下山した。

行政ヘリのみの出動だったので、救助費用の請求はなし。よかった。

☆生還ポイント

・無理をしなかった

・体力があった

 

 

そしてあとがき。

このあとがきがまた良いことばっかり書いてあるので一部抜粋します。

 そもそも人間は決断したくない生き物だという。なにかを決断して行動に移すときには、常に不安とコストがついてまわるので、なるべくそれを先送りにしようとする。しかし、山岳地のようなリスクの高い場所・状況では、やらなければいけないことを先送りにすると、どんどんリスクが積み重なっていくことになる。そのリスクがある程度の大きさになると、ふ化に耐えられない状況になってきて、最後には重大な事故が引き起こされてしまう。

 日常生活のリスクをこう、もっと圧縮して見やすくしたのが山の状況なんだな~となりますね。(星新一の「処刑」みたい…)

人間は決断したくない生き物だからこそ、決断できる人が人生を豊かにするんだろうね。

 

とにかく!

この本での教訓は

・山で遭難したら絶対に下るな!尾根を目指せ!

・冷静でないときに判断するな!

・楽そうな道に逃げるな!

でした。

 

そしてなんとこの本はkindle Unlimitedで読み放題対象作品です!

(私は紙の本を買ってしまってからあるのに気付いた。悔しすぎる)

 

他のシリーズも対象なので、無料登録期間にガッと読んでしまうのがオススメです。

ちなみに個人的に面白かった順としては

道迷い遭難>生還、気象遭難>単独行遭難>>山の突然死、滑落遭難

でした。

 

30日無料キャンペーン中ですので、ぜひ!

以上!