1000匹の犬

サイタローの感想ブログ

ミッドサマー考 クソな人間関係を断ち切れ!

「クソな恋人を燃やしたい」

そんなことを思ったことはありませんか??

このままつきあってても自分にメリットは全くないけど、情はあるし、もし別れて向こうが幸せになってもイラつくし…クソ!燃やしたい!!!合法的に!!

こんなこと、あるよね~~(あるか???)

 

そんなときにオススメするのがこの「ミッドサマー」!!!

超ネタバレしますが映画の最後に、主人公はクソな彼氏を生贄として燃やします!!!

いいぞ!やったれダニー!

 

Midsommar [Blu-ray]

 

主人公のダニーは映画冒頭で一家心中により家族を全員失ってしまうという、なかなかヘビーな境遇です。

まだ大学生なのに天涯孤独になってしまった。当然メンタルはボロボロ。

そんな状況で、もう頼れるのは彼氏のクリスチャンしかいない。

でもこのクリスチャンがまーーーーー嫌な奴でね!

利己的というか、状況に流されて生きてるっていうか…

メンタルが不安定になり、自分に依存してくるダニーのことを疎ましく思っていることは確実なんですが、それを口にはしません。

きっと自分が悪者になるのが嫌だから。

なので、面倒だな…と思いながらも適当にあしらっているわけですよ。

適当に扱われているの、ダニーが気づかないわけないじゃん。

当然、ダニーも不満を抱いている。

でもダニーにはもう家族がいない。まっとうな社会(に思えるもの)とのつながりはクリスチャンだけ。

非難してクリスチャンが自分から離れれば、世界から隔絶されてしまう。

一人は耐えられない(と思っている)。

だから不満があってもクリスチャンに縋ってしまう。

 

いやーーーーーーほんとさっさと別れればいいのにね!!

この場合、クリスチャンによってダニーのメンタルはさらに削られている気がしてならないので別れたら解決する。

大丈夫。こんなクソ男に選ばれなくても幸せになれる。お前は強い女だ。

ただそういう「縁を切る」とかの決断をするのって超~~~~体力使うので、元気がないときはできないのよね…

なのでこう、もっと受動的に、勝手に縁が切れてくれないかな…

例えば謎の儀式に巻き込まれて生贄にされるとかさ……

はい!その願い、ホルガ村が叶えます!!(?)

 

ホルガ村はスウェーデンにある小さなコミュニティ。

村は世間からそこそこ隔絶されており(テレビとかはあるみたいだけど)、独自の文化を築いています。

そんなホルガ村、今年は90年に一度の夏至祭の年。

外部の人間も招待してみんなでお祝いしよう!

ホルガ村出身の留学生ペレに招待され、ダニーら大学生4人はスウェーデン旅行を決行します。

 

最初こそきれいな景色や珍しい文化に触れ、旅行を満喫する彼らですが、そこはホルガ村。

世間の常識から外れた文化を見せられ、気が付いたら消えていく顔見知りたち…

特に知らされていない戒律(マジでこれは教えとけよってかんじ)を破るとどうやら殺されるっぽい…?

これ、やばくない?しかも彼氏のクリスチャンは自己保身しか考えていないぞ???

なんで?なんで私の人生こんななの??

私はなにもできない。誰も助けてくれない。つらい!孤独だ!

 

慣れない環境や飲食物に混ぜられたドラッグによって心がかき乱され、とても冷静とは言い難い状態になっているダニー。

そんな中、ちょっとだけ仲良くなった村人の女の子に誘われます。

「一緒にクイーンを決めるダンスバトルに参加しない?」

勝者に与えられる「メイ・クイーン」の称号はとても名誉あるもの。

村人たちはクイーンを奉り、多くの尊敬を集める。

ダンスバトルのルールは単純。

皆で輪になって踊り、最後まで立っていたものが勝者だ!!

 

朦朧としながらも踊り続けるダニー。周りには同じ景色を共有する仲間たち…

人との繋がりに飢えていたダニーはバトルを通して深まる絆に救いを見出す…

あれ?私が求めていたのってこれだったのかも??

気が付けば立っているのはダニーただ一人。

優勝!!!おめでとう!!あなたがクイーンよ!!!!

ワッと集まり口々に祝福を告げる村人たち。

自己肯定感が下がりきっていたダニーの心に「自ら勝ち取った勝利」「称賛」が染みます。

 

クイーンとして祀り上げられ、ちょっとした儀式をこなしていくダニー。

そんなときに目にしてしまったのが、若い村娘とセックスしているクリスチャン。

はい。一気に現実に引き戻されます。

なんで??とうとう裏切られた??無理。嫌だ。辛い。

これまで一人で抱えるしかなかったこれらの負の感情。

しかし、今はクイーン。たくさんの村の女たちがダニーと共に大声で泣きます。

(ホルガ村には過剰に共感を示す文化(?)があります)

 

そして最後。

儀式の生贄として見ず知らずの村人かクリスチャンか、どちらかを選ばなければいけない状況になります。

当然、選択権はクイーンのダニーにあります。

一緒にいても傷つくだけのクリスチャンより、共に嘆いてくれる村人のほうが私を救ってくれる?私を受け入れてくれている??

 もうクリスチャンは必要ない。だって村が私を必要としてくれているから。

ダニーは生贄としてクリスチャンを選びます。

そして、生きたまま炎に焼かれるクリスチャン。

かくして、ダニーの「クソな恋人と別れる」という旅路は達成されたのです。

燃え盛るクリスチャン(in小屋)を眺めながら僅かにほほ笑むダニーが映り、映画は終了。

はい!ハッピーエンド!

 

ダニーが依存先をクリスチャンから村に変えただけで実際はまだ何も救われていないし、解決もしていない…そんなことは分かっているんだよ!!!

ただこれはダニーにとって現時点での最適解だ!とりあえず現在進行形で傷つけられることはなくなった!あとはきっと村と時間が解決してくれる!

(ただ祭りはまだ数日残っている設定なので、この後ダニーも死ぬかもしれないし、生き残ったとしても正気に戻ったらクリスチャンに手を下した罪悪感でまた病むかもしれない)

…いいんだよ!!!!少なくとも今ダニーは救われた!それでいいんだ!!

これはハッピーエンド!大団円!

 

コロナ禍で映画の公開期間が延長され、まだ上映している館も多いです。

興味の湧いた方はぜひ!